2009年12月21日月曜日

調停センターふらっと運営委員会・事例検討委員会開催

運営委員の鈴木修司です。

今年も残すところ10日となりました。今年は「ふらっと」にとって大きな前進の1年であったように思います。

さて、12月17日(木)、静岡県司法書士会館にて第2回調停センターふらっと運営委員会が開催されました。本日の主な議題は、(1)事例共有シートの取扱いについて、(2)司法書士調停センター人材育成担当者養成研修会、同手続実施者上級者コース研修会について、(3)紛争解決学の研修会等についてです。
事例共有シートは、実際にADR・メディエーションを実施しようとした事案で処理上生じた工夫点や注意点などを検討し、今後の改善に繋げるために関係者間のみで共有することだけを目的に利用するものです。これについては、守秘義務や倫理等の観点を十分に留意して検討を行い、また、研修会については、日程や参加者の確認、企画・運営などの検討がなされました。

委員会に引き続き事例検討会の開催です。
事例検討会は、事件の詳細や関係者を特定しない形で、実際に事件を処理したメディエーターやサブメディエーター、ケースマネージャーから注意点や工夫点などの説明があり、参加者で検討・共有を図るものです。
具体的には話し合いを行う場所や席の配置、申込者や相手方の言葉、表情、動作など多くの点に注意を払いながら進行していることが分かります。

当事者の中には、口の重い当事者、最初から戦闘態勢むき出しの当事者、思っていることが上手に表現できない当事者など様々な方がいると考えられます。それでも皆何とかしたいという思いからその場に臨んでいることでしょう。だからこそ、席の配置やミディエーターの一言でその場の雰囲気が代わったり、当事者との信頼関係が生まれたりするのでしょうね。
そう考えますと、ケースマネジャーやミディエーターは、合意に向けた「紛争解決」よりも「当事者支援」がより重要な視点ということが改めて実感できます。

これも対話の力ですね。

一口に対話(コミュニケーション)といっても奥が深いです。

2009年12月14日月曜日

民法改正と和解契約

運営委員の井上尚人です。

司法書士には青年会といって、若手の司法書士で構成する任意団体があります。静岡にも静岡県青年司法書士協議会があり、毎日活発に勉強会を行っています。

その東部地区の本年のテーマは「民法改正」です。
法務大臣は、諮問第88号で、民法債権法の分野について数年後の改正を目指し法制審議会で議論するよう付託しました。
法務省は、民法の中でも当面は債権法の分野のみ改正を検討するようなので、東部地区の勉強会も、債権法の分野のみに的を絞り勉強をしていく予定です。

さて、債権法の中に「和解」という章があります。当然、「和解」についても、検討対象になっています。私たち”ふらっと”が行う当事者間の合意も、この和解契約が下敷きになっているわけです。

”ふらっと”でもそうですが、私たちの司法書士業務においても、紛争が終結したときは、当事者間で行われた合意を書面にします。
私たちは、学者でなく実務家なので、この合意=和解契約について学問的に考察し、その視点で和解案を作成することは通常ありません。主に、①紛争の蒸し返し防止、②合意内容の実現を望んで契約します。
つまり、和解契約をすることについては、和解後の事後的な紛争防止という極めて実務上の視点しか持っていないと言っても過言ではありません。

しかし、学問の視点では、和解後への留意だけでなく、和解契約が存するための要件、つまり和解前の段階についても考察を行っています。

参考書によると、和解契約の要件は伝統的に「争いが存在すること」「互譲があること」なのだそうです。ただ、昨今はこの要件よりも当事者の合意そのものの存在や、和解の確定効を重視する学説も有力になっているようです。

今回の改正においては、和解と錯誤に関する規定として、「争いの対象となった事項に関係する事実について錯誤があった場合は、取り消すことができない」という内容の条文を新設するかどうか検討されるようです。
”蒸し返し防止”について明文を置いてはっきりさせる意図のようです。

正直、今回の勉強をするまで、和解契約について多角的に分析した学説が複数あることを知りませんでした。和解については、紛争の蒸し返し防止機能くらいしか意識したことがありませんでしたが、和解は”ふらっと”の根幹にも関わるところです。
今後は法制審議会の議論に注意し、使いよい条文になるよう意見していく必要がありますね。

2009年12月11日金曜日

非言語コミュニケーションを考える

運営委員の山田です。寒くなってきました。私には昨年産まれた子供(女の子)がいるのですが,間もなく1歳になろうとしています。この約1年間,彼女の成長を目の当たりにしてきたところですが,ここ1,2か月の間に,日本語の会話はいまだできないものの意思疎通が図れるのを実感することが多くなってきました。
(ベビーサインといった意思疎通方法もあるようですが,本は買ったものの断念!)

たとえば,彼女が手に持ったテレビのリモコンを①「ちょうだい」といって,②手を差し伸べる,そうすると,これまではリモコンを離すことはなかったのですが,今は何やら叫んで,手渡してくれます。

彼女は①を理解したのか,②でこちらの意図を理解したのか,①②を併せて理解したのか,判然としません(単なる反射ということはさすがにないとは思いますが・・(笑))が,結果として意思疎通が図れたのだと思います。


前回は外国の方との非言語コミュニケーションについて取り上げましたが,子どもとのコミュニケーションもこうして考えてみると,なにか,気付かせてくれる点があるのではないかと思います。