2011年9月29日木曜日

先入観(其の弐)


最近好んで読んでいる本に、東川篤哉という作家のミステリー小説があります。
登場人物が個性的で、ストーリーのテンポも良く、オススメです。

さて、この小説を紹介しましたのは、「先入観」を利用して読者をあっと驚かせる仕掛けが面白かったからです。

思い返してみると、前にもブログに「先入観」について書いた気がしますが、本ブログのテーマの1つである(と私は勝手に思っている)「人間関係」においては、この「先入観」というものが、様々に影響してきます。
私は、日々の業務から、時には「先入観」が災いし、接した相手と良好な人間関係を構築できないことがあるということを、よく感じます。
ですから、同じような話題であっても、ご容赦くださいませ。

さてさて、本筋に戻りたいと思います。
なお、ここから先は、東川氏の小説の「ネタばらし」となってしまうため、小説に興味を持ち、読んでみたいと思われた方は、ご遠慮ください。

私が東川氏の小説で面白いと思った仕掛けの1つに、活字だからこそできる仕掛けがあります。
例えば、小説の主人公が自分のことを「ボク」とか「オレ」とか呼んでいれば、その主人公は男だと思いますよね。反対に、「ワタシ」と呼んでいれば、その主人公は女だと思う訳です。
これが「先入観」です。
ところが、小説を読み進めていくと、今まで男だと思っていた主人公が実は女だった、ということが明らかになります。改めて読み返してみると、主人公が女であることをほのめかす文章が多数あったのですが、最初は、てっきり主人公が男であると思って読み進めていたため、これらのヒントに全く気付きませんでした。
このような活字ならではの仕掛けがいくつもある訳です。

これを日常の人間関係に置き換えてみれば、相手の第一印象から、よく話もしていないのに勝手に性格を決め付けたりすることなどないか、ということになります。
実際によく話をしてみれば、第一印象とは全く違う人となりが見えてくるかもしれないですよね。
このように考えると、人と接するときには、できる限り「先入観」を持たない方がよいのかもしれません。

(運営委員 登山)

2011年9月27日火曜日

説明

今の世の中、どんな職種でも顧客に対する説明責任が求められますよね。
説明が不十分だったり、不正確であったりする場合には、顧客からクレームを受けても仕方ありませんが、最近では、丁寧に説明をしていても、後になって「聞いていない」「説明と違う」等の反論を受けることも少なくありません。

このような顧客を十把一絡げに“クレーマー”と位置づけるのは簡単なことですが、中には、説明の仕方にプロとしての配慮や工夫が欠けているケースもあるのではないでしょうか?

私たちも、日頃、相談者に対し、複雑な紛争を紐解き、難解な法律用語を噛み砕いて説明をします。
その際、私自身が意識していることは、自分の頭の中に描かれている“球”が、相談者の頭の中に同じきれいな“球”として描かれているだろうかという点です。

相談者の頭に描かれた“球”は、ところどころへこんでいたり飛び出ていたりといびつな形になっているかもしれません。
手前の半分はきれいな“球”を描いていても、向こう側半分は角ばった物体と化しているのかもしれません。
自分の“球”と相談者の“球”を一致させることは、なかなか難しいのです。

へこんだ部分は内から吹き出し、飛び出た部分は外から叩き、角を丁寧に磨き、相談者の頭にも自分と同じ“球”を描くことで、冒頭のような反論は避けることができるのではないでしょうか。

中里

台風15号の被害相談について

 このたびの台風15号は、各地に大きな被害をもたらしました。被害に遭われた方には、心よりお見舞い申し上げます。
 私たちの事務所にも、近所のスレート瓦が飛んで自宅や車のドアに突き刺さったが弁償してもらえるのか・隣のカーポートが壊れて自宅の庭に散乱しているが、片づけてくれない・隣は空家で、めくれた瓦が放置されており危険な状態だがどうしたらよいか、等多くの相談が寄せられております。
 静岡県司法書士会調停センター『ふらっと』では、話し合いによる問題解決をサポートいたします。お困り事がございましたら、お気軽にご相談ください。

2011年9月9日金曜日

合理的思考と感情















こんにちは。
事務長の芝です!


9月3日、”ふらっと”市民公開講座を開催しました。
多数の皆様にご参加いただきました。
ありがとうございました。

今年は「交渉を科学する!win-winとは何か?」と題して、
東京工業大学猪原健弘教授をお招きし、
ゲーム理論の考え方として聞き慣れた人も多い、
囚人のジレンマやチキンゲーム、賢者の贈り物等
いくつかのゲームを使いながら交渉、仲裁、調停、
合意形成、意思決定のメカニズムを数学的に
分かりやすく解説していただきました。






合理的思考を身につけると、物事がすっきりして分かりやすくなります。




一方で、「冷たい」「何を考えているのかわからない」「取っつきにくい」


と言われてしまう可能性も・・・・。

必ずしも合理的には行動できない人間の複雑さが、
合理的思考を学べば学ぶほど際だちますね。




今度もみなさんにご参加いただける面白い企画を計画します。


またぜひご参加ください!

2011年9月7日水曜日

相談とテープ利用

相談等を受けている時、相談者がテープを持ち込むことがありました。
30年近く仕事をしていると、自分でテープを使ってお客様の言動を録音することも1~2回はありましたが、基本は直接の対話でした。
 従って、逆に自分の話が録音されると、緊張すると共に、自分には録音されることに対しての対応が全く出来ていないと思いました。

 その相談は境界の争いでした。話し合いで解決を試みて相談者の了解を得て相手方と話し合いをし、その2回目位の話し合いの時、録音の話が出ました。
 慎重に言葉を選びながら話をしましたが、突っ込んだ話は出来なかったように思いました。
 その後も相手の人と2回ほど話をしましたが突っ込んだ話は出来ないし、話をしているうちに、以前テープで録音した言葉尻をとらえて、前回と言っていることが違うなどと言われ、話し合いは決してスムーズにはいきませんでした。

 結局、この境界の話は2~3ヶ月にわたり、双方4~5回面談して話し合いを進めましたがうまくいかず、別の解決方法(筆界特定の申立)へと移行することになりました。
 今振り返ってみますと、境界の争いは紛争性が高く、普通の話し合いでも大変ですが、録音されていることへの対応も考えていませんでした。
 今後は、テープで録音されても対応出来るような話し合いの進め方も自分がフラットで活動していく時の課題かと思いました。
                                                     佐藤 寛